坂道を下って

水曜日の色

13 

坂道を下って


坂道を下って郵便局まで歩いて行ってみることにした。
郵便局じゃなくても、うちからは何処へ行くにも坂道を下るしか無いのだけれども。

坂道を下る途中に、木々の枝を払って中の林に出入り出来るような空間がある所があって、それを覗いてみると、屋久島の防風林の木々の空いた所からポンカンタンカン畑を覗いているような気がした。


d0156557_00300642.jpeg


屋久島に住んでいた時は、うちから坂道を下ったり登ったりして散歩していた。
うちから向かいのおじさんのポンカンタンカン畑の防風林に沿って、県道までちょっとした下り坂で、県道を渡ってまた違う人のポンカンタンカン畑の防風林に沿ってさらに下って行くと、今度は広々としたじゃがいも畑に突き合たった。そのじゃがいも畑の向こうには海が見えた。じゃがいも畑を横目で見ながら道に沿ってしばらく行くと急坂があって、それを下ると恵比寿様の祀られた集落の小さな魚港に出れた。

じゃがいも畑の辺りから来た道をうちの方へ振り返ると、モッチョム岳が聳えていた。じゃがいも畑をまた横目で見ながら漁港のある方向とは反対にずんずん進むと、さらにモッチョム岳がよく見える場所があった。もっと進むと道はやがて今度は急な登り坂になり、その坂道を登り切ると隣の集落にある郵便局へ行けた。

郵便局の局長さんの顔をよく見知っていたが、気が付いたら退職されたのか顔を見かけなくなっていた。
が、ある時、うちのオオミノトケイソウの株を分けて欲しいとやって来たレンタカー屋さんが、その郵便局の元局長さんだった。
話が脱線するが、うちのオオミノトケイソウは隣の隣の集落の人にもやはり分けてあげた。郵便局の元局長さんからも、隣の隣の集落の人からも、そのお宅の株をうちに分けてもくれて、オオミノトケイソウの株の分け合いをしたのだった。

今のうちから坂道を下って郵便局に着いてみると、おばあさんが二人、もう用事は済んだのか長椅子で寛いでいた。
私はやっと出すことになった引越し葉書の印刷の失敗した物を一枚出して、さらに足りない枚数を言って葉書を買う。係の人はもう私の顔を覚えてくれているみたいだ。
通帳も記帳してもらった。この郵便局は小さな簡易郵便局でATMが無いのだった。
私の後には、何処かの作業服姿の若い男の人がやって来て、何かの行事のことを郵便局の人と話ながら用事を済ませている。
屋久島のあの局長さんの居た郵便局と似たり寄ったりの様子だ。

近くにコンビニがあったので寄ってみた。思わず新聞を買って、水を買って、3時のおやつを一つ買って、ちょっぴり町の雰囲気も楽しんだ。
買った水を飲みつつ、坂道を下った時と同じように、立ち話をしているおばさん達や、乳母車を引いている若いお母さんや、通りがかったおじさんとこんにちはと挨拶を交わしながら、家々の点在する坂道を登って小高い山にあるうちへ帰った。






[PR]
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kiyoko_ki | 2018-06-06 14:39 | 水曜日の色 | Comments(0)