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手石島

水曜日の色

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手石島


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寿美江おばさんから夫に電話があった。
96歳の寿美江おばさんは耳は少し遠いもののお元気で、お一人暮らしだそうだ。
近くに孫や曾孫が住んでいる。

うちの引越しの葉書が届いて電話をくれたのだが、盛んに伊東が懐かしいと言っていたとか。
聞けば、伊東におじさんが住んでいて、女学校時代に濱子さんと一緒に夏休みには伊東へよく遊びに来ていたらしい。

小さい島があってそこまで泳いだと。
手石島?と夫が聞く。
そうそう!と寿美江おばさん。
濱子さんが呼んだのよと、寿美江おばさんは言った。

濱子さんというのは夫の母親。夫が小学校の小さい時、亡くなった。
寿美江おばさんは、夫の父親の妹。
そうか、濱子さんは親友のお兄さんと結婚したんだ。知らなかった。

写真で見せてもらって知っている濱子さんは、色白で華奢な女性だ。
濱子さんも手石島まで泳いだのかしら?と、私。
昔の人は達者だったからねと、夫。

それで、寿美江おばさんと濱子さんが泳いで渡った手石島を、見に行ってみようじゃないかと出かけた。

この日は、山手から手石島を眺めた。
海岸線は見えないが、木々が鬱蒼と茂り下の方まで続いているようだ。
手石島と少し離れて、左に初島が見える。
手石島に波がぽちゃぽちゃしている所があって、そこが浅瀬だろうか。寿美江おばさんと濱子さんはその辺りから手石島に上ったかしら。
そしてこちらの山の方を眺めたこともあったかしら。

手石島が見えるこの見晴らしの良い場所にはベンチがあって、しばらくベンチに座って、梅雨晴れ間の海や島の景色を楽しんだ。

それから私達は、山を少し登ってみたり、降りて来て道沿いにまた少し歩いてみたりして、手石島が見えるこの山をちょっぴり偵察してうちへ帰った。
いい日だったな。
また手石島を見に来よう。






by kiyoko_ki | 2018-06-13 13:49 | 水曜日の色